福岡空港は常時混雑しているので2本目の滑走路の建設予定があるというのを知っている人は多いと思います。
しかしそれ以上のことはほとんど知らないのではないでしょうか?
そこで今回は、福岡空港の2本目の滑走路建設とこれからどうなっていくのかを誰にでも分かるように解説していこうと思います。
目次
- 福岡空港の現在
- 空港年間乗降客数について(平成30年統計)
- 2本目の並行滑走路の建設の概要
- 2本の独立使用は不可能
- 2本あるとどのくらい変わるのか
- どのような滑走路・誘導路の運用になるのか
- ターミナルもまだ改装中
- 30年後の福岡空港はすごいことになっているらしい
- まとめ
福岡空港の現在
方向 |
ILS |
表面 |
|
16/34 |
I |
2,800×60 |
舗装 |
これを見てもなかなか意味がわからないと思いますが、ポイントは2,800mという長さです。これは大きな空港にしては短めです。
他の大きな空港を見てみても羽田が3,360m、成田と関空が4,000m、セントレアが3,500m、新千歳が3,000mです。
B747やA380などの4発機が定期就航するためには少なくとも3,000mは必要です。
特にA380に関しては4,000mないと定期就航しないことが多いです。
また福岡空港ではILSはあまり関係ないので気にしなくていいです。
滑走路が1本しかないと何らかのトラブルで滑走路閉鎖が起こった場合は大変なことになりますよね… エアターンバックやダイバート必至でしょう。
2本あれば遅延しても確実に降ろすとこができます。
全日空機 エンジントラブルで緊急着陸 福岡空港滑走路一時閉鎖 | NHKニュース
空港年間乗降客数について(平成30年統計)
順位 |
空港名 |
国内線 |
国際線 |
合計 |
1 |
東京国際空港(羽田) |
69,368,499 |
17,968,980 |
87,337,479 |
2 |
成田国際空港 |
7,249,087 |
33,426,313 |
40,675,400 |
3 |
関西国際空港 |
6,501,419 |
22,333,780 |
28,835,199 |
4 |
福岡空港 |
17,811,473 |
6,827,631 |
24,639,104 |
5 |
新千歳空港 |
19,587,471 |
3,726,018 |
23,313,489 |
6 |
那覇空港 |
17,539,078 |
3,843,337 |
21,382,415 |
7 |
大阪国際空港(伊丹) |
16,184,879 |
0 |
16,184,879 |
8 |
中部国際空港(セントレア) |
6,129,720 |
5,894,545 |
12,024,265 |
9 |
鹿児島空港 |
5,591,322 |
387,295 |
5,978,617 |
10 |
仙台空港(仙台国際) |
3,270,111 |
309,511 |
3,579,622 |
上位5位までを見てみると、福岡空港以外の空港は全て2本以上の滑走路を有しています。それでも混雑しているのに、福岡空港はそれをたった1本で運用しているんです。
さらに言えば、福岡空港はこの中で運用時間が一番短いので、実は数字で見る以上に過密ダイヤが組まれているんです。
1本あたりの発着数で考えれば、世界的にもトップクラスです。
2本目の並行滑走路の建設の概要
簡単に言えば2024年に現滑走路2,800mから210m離れたところに2本目の並行滑走路2,500mが新設されます。
2本目の滑走路ということを考えれば2,500mというのは妥当です。ちなみに羽田や成田も2本目、3本目の滑走路は2,500mです。
滑走路の間隔が210mというのは結構短いです。これについては後述します。
2本の独立使用は不可能
2本を独立して使用する(オープンパラレル)、すなわち同時進入・同時出発の事ですが、これには1500mほど間隔が必要なので福岡空港の210mという間隔ではとてもじゃないけどできません。(これをクロースパラレルという)
この間隔が1,500m以上あるタイプをオープンパラレルというのですが、これには羽田(1,700m)、成田(2,500m)、関空(2,300m)が該当します。
ちなみにクロースパラレルだと滑走路1本の時と比べて発着数が大体1.5倍ほどになると言われています。
もしこの通りになれば、先ほどのランキングから分かるように年間乗降客数が2位の成田空港に肉薄します。
2本あるとどのくらい変わるのか
さっきも言った通り、滑走路が2本になると年間乗降客数が1.5倍になります。
これによって福岡空港がどのように変わっていくのかを考えていきます。
民営化後の福岡空港、30年後に100路線 国際線3.7倍へ バスやホテル、利便性向上 :日本経済新聞
こちらの記事によると、30年後に100路線、国際線3.7倍へ拡大する計画があるようです。
LCC専用のターミナルも設けてアジアのハブ空港を目指すということでしょうか。
現在の羽田空港が国内線49路線、国際線43路線の合わせて102路線なのでかなり難しいように感じてしまいますが…
また国際線を3.7倍に拡大したとすると羽田、関空の国際線年間乗降客数を超えることになります。これもほぼ不可能のような気がします…
とはいえ、現状は福岡空港は国際線に弱い(福岡国際空港でない理由かも)ので頑張って欲しいです。個人的にはワンワールドをもっと誘致して欲しいです笑
どのような滑走路・誘導路の運用になるのか
滑走路の2本目が完成したら運用方法がどうなるのか気になるところです。
「離陸用と着陸用で分けるのか」、「国内線と国際線で分けるのか」、「機種によって分けるのか」。色々なパターンが考えられます。
ここでは同じような並行滑走路を有している空港がどのように運用しているのかを参考にしながら予想してみましょう。
他空港の例 ①成田空港
成田空港ではA滑走路(長い方4,000m)の9割が離陸、着陸はA滑走路(4,000m):B滑走路(2,500m)=4:6で運用されています。(※基本的に旅客機は着陸より離陸の方が滑走路の長さを必要とします。)
またA380やB747などの大きくて重い旅客機はA滑走路の方を利用します。
また国内線と国際線ではターミナルは分かれていないこと、滑走路がオープンパラレルである事が福岡空港と異なるポイントとなります。
他空港の例 ②新千歳空港
※画像左上は千歳基地の滑走路
画像ギャラリー | 雪と戦う新千歳空港、圧巻の「全幅一方向除雪」とは | 乗りものニュース
新千歳空港の場合は、同じ長さ(3,000m)の並行滑走路がクロースパラレルで存在しています。国内線と国際線のターミナルはほぼ同じ場所にあります。
滑走路は主にターミナルに近い方を離陸、遠い方を着陸用として利用しているようです。
ILS(悪天候時にも離着陸できるシステム)が設置されているのがターミナルに近い方だけなので悪天候時は1本での運用となります。
他空港の例 ③羽田空港
羽田空港と福岡空港の共通点は国内線ターミナルと国際線ターミナルが遠いところにあるという点です。
この場合は、それぞれのターミナルから近い方の滑走路を使っています。(この場合長さは考慮せずとも大丈夫です。)
他空港の例 ④伊丹空港
伊丹空港はクロース・パラレルの長短2本の滑走路を有しています。
A滑走路(14L/32R):1,828 m×45 m
B滑走路(14R/32L):3,000 m×60 m (南東側32LにILS設置)
となっていて2本の滑走路は、航空機の性能によって使い分けています。ボーイング777やボーイング767、ボーイング787など中・大型機は、長いB滑走路(14R/32L)で離着陸します。
A滑走路はボーイング737やエアバスA320、ボンバルディアCRJ、DHC-8、サーブ340など小型機の離着陸に使われます。気象条件や混雑状況によっては、小型機でもB滑走路を使うこともあるようです。
これらから判断すると…
①〜③をまとめると、
・長い方の滑走路を離陸用、短い方を着陸用
・長い方の滑走路を大型機、短い方を小型機
・ILSがある方がメインの利用
・ターミナルに近い方の滑走路で離着陸(地上走行が短くなるように)
ということになります。
ここでもう一度福岡空港の状況を考えてみると、
・クロースパラレル
・国内線ターミナル側に2,800m滑走路
・国際線ターミナル側に2,500m滑走路
です。結論から言うと、基本は国内線が2,800m滑走路、国際線が2,500m滑走路を利用するような運用になるのではないかと思います。
理由は適当ですが、福岡空港はいくら改装工事で誘導路が増えたとはいえ、まだまだ足りていないので離着陸で分けてしまうと誘導路で混雑が起こってしまうと思ったからです。
また長さもほとんど同じですし、福岡空港は国際線長距離便がほとんど飛んでいないので2,500mでも十分離着陸できると考えました。
しかし完全に国内線、国際線で分けてしまうと2,800m滑走路の方の負担が大きくなってしまいますので2,500m滑走路の方でも国内線が離着陸する事も頻発すると思います。
ターミナルもまだ改装中
2019年の春に地下鉄からチェックインカウンターへのアクセスが良くなったのは知っている人は多いと思いますが、実はまだ改装工事は終わっていません。
https://www.fukuoka-airport.jp/share/uploads/2017/07/d40e171ef607dd0bbd75559f125e45e9.pdf
現状の福岡空港の展望台はガラス越しだし狭く使い勝手が悪いですが、今度の改装で広々とした緑溢れる展望台になるようです。
30年後の福岡空港はすごいことになっているらしい
先ほども少し触れましたが、福岡空港には30年後に100路線 国際線3.7倍へ増加させる計画があるようです。
これは現在の羽田空港に匹敵します。なかなか難しいですが、福岡空港にはこれから仁川をしのぐアジアのハブ空港になってほしいと思います。
福岡空港、2023年までの中期計画と30年後の将来イメージを発表 | sky-budget スカイバジェット
https://www.mlit.go.jp/common/001245370.pdf
まとめ
2024年に2本目の並行滑走路新設!
同時離着陸は不可!
30年後にはアジアのハブ空港に!?
〜参考文献〜
https://www.homemate-research-airport.com/useful/12822_facil_025/
https://www.fukuoka-airport.jp/share/uploads/2017/07/d40e171ef607dd0bbd75559f125e45e9.pdf
民営化後の福岡空港、30年後に100路線 国際線3.7倍へ バスやホテル、利便性向上 :日本経済新聞
【福岡空港現場レポート】滑走路増設で「過密空港」脱却なるか?:【公式】データ・マックス NETIB-NEWS
https://www.mlit.go.jp/common/001065917.pdf
羽田空港 就航都市・路線 | FlyTeam(フライチーム)